くすぐりに弱くなりたければ不健康になれ? くすぐったいという感覚のメカニズム

くすぐりフェチなら、「くすぐったい」という感覚が嫌いな方はいませんね。しかし、そもそもどうして人にはこのような不思議な感覚が備わっているのでしょうか? その実態には、多くの方が抱いているイメージとは少し異なる部分があるようです。

人の肌は「くすぐったい」と感じることができない

たとえば、人は肌にお湯を掛けられれば「熱い」と感じますし、針で刺されれば「痛い」と感じます。これは、皮膚の中にある「受容器」が熱や痛みを感じ取って、脳に信号として伝えているからです。「冷たい」という冷感、「押されている」という圧感も同じです。

そこで「くすぐったい」という感覚も同じと考えがちですが、実は擽感(りゃっかん)に対応した受容器というものはそもそも存在しません。これは「痒み」も同じです。

人の肌というごくわずかな範囲では、どちらも「痛み」の一種、もしくは「触覚」で一括りにされています。

「くすぐったい」とは脳が発する危険信号だった

「くすぐったい」とは肌の受容体が受け取る感覚ではなく、脳から直接発せられるもの。つまり、肌から伝わってきた「痛み」もしくは「触覚」が、脳で「くすぐったさ」に変えられているというわけです。

その目的は身体の防衛。たとえば、虫が身体にくっ付いたらくすぐったく感じるはず。そして、くすぐったく感じたらその部分を咄嗟に防ぎたくなるでしょう。この一連の流れが外敵から身を守るための防衛反応だと思えば、ぴったりと辻褄が合います。

特に、腋の下やお腹、足裏などのくすぐる場所として定番となる部位は、人体の急所。怪我をすれば大量に出血したり、生活に支障を来たしたりする部分です。

より厳重に守らなければならない場所だからこそ、他の部位よりも一際くすぐったがりになっているというわけです。

自分でくすぐっても効かないのは、脳が「危険」だと思えないから

特にMっ気のある方なら、自分のことをくすぐってみたことがあるかもしれません。しかし、「くすぐったくなかった」という方がほとんどのはずです。

くすぐったさが危険信号の一種だと分かっていれば、その原因は想像できるでしょう。自分で触っているのだから、防衛反応が機能しにくいのです。

単調なくすぐり方ではやがて慣れるということも、脳が慣れて「これは安全なんだな」と認識しているためです。くすぐりプレイでとことん笑わせるなら、時々くすぐり方を変えて脳を混乱させることが重要だということですね。

血行が悪いとくすぐりに弱くなるが、実用は難しい?

くすぐりに弱い方は感受性が豊かで、脳が危険信号を発しやすい方だと言えます。しかし、くすぐりの弱さを決めるのはそれだけではありません。

実は、血行が悪い人ほどくすぐったがりだと言われています。

身体に傷が付いた時は誰しも痛がるものです。しかし、このような人体の損傷を伝える感覚はいくつかの段階があります。

(損傷が大きい)
痛み
痺れ
痒み
くすぐったさ
(損傷が小さい)

つまり、血行の滞りという軽い損傷によって、くすぐったく感じやすくなっているということです。もちろん個人差はありますが、「誰かに軽く触られるだけでもくすぐったい!」というレベルなら、だいぶ不摂生な生活を送っているかもしれませんね。

反対に、「くすぐりが効かない」と悩んでいる方は、全身の血行を悪くさせればくすぐったがりになれるかもしれません。

しかし、そのくすぐったさを放っておけば、やがて上位の損傷を示す痒みや痺れ、痛みに変わります。もちろん健康や健全とは程遠いため、おすすめできる方法ではありません。

また、「くすぐられ続けるとそのうち慣れる」という現象は、脳が慣れる他に血行が良くなることも原因だと考えられます。実際のくすぐりプレイでも、フィクションの世界でも、血行とくすぐりの関係は使いどころが難しい知識ですね。